世界のいちご消費量ランキング ~データで見る各国の“いちご愛”~

甘くて香り豊かな「いちご」は世界中で親しまれている果物です。春から初夏に旬を迎えるいちごは、そのまま食べるだけでなくジャムやスイーツにも幅広く利用されます。

各国でどれほどいちごが食べられているかご存知でしょうか?

本記事では最新の統計データ(2022年~2023年頃)に基づき、各国の年間いちご消費量ランキングをまとめました。国ごとの総消費量(年間トン数)ランキングと、人口当たりの一人あたり消費量(年間キログラム)ランキングをそれぞれ紹介します。いちご好きな国はどこなのか、世界のトレンドを見てみましょう。

目次

各国の年間いちご「総消費量」ランキング(トン)

まずは各国の年間いちご総消費量(国内で消費される量)のランキングです。基本的には国内生産量と輸出入を加減した値になりますが、大きな輸出入がない国では生産量がおおむねそのまま消費量とみなせます。

近年のFAO(国連食糧農業機関)の統計によると、世界全体のいちご消費量は年間1,000万トンを超え、そのうち約4割を中国が占めています。

以下は2022年のデータを中心に、主要国の年間消費量をまとめたものです。

順位国名年間消費量(トン)世界シェア
1位 🥇中国3,400,000 約40%(世界最大)
2位 🥈アメリカ1,300,000 約13%(輸入も最大
3位 🥉トルコ728,000 約7%
4位エジプト638,000 約6%
5位メキシコ568,000 約5%
6位スペイン326,000約3%
7位ロシア300,000(推定)約3%
8位ポーランド200,000台(推定)約2%
9位韓国200,000台(推定)約2%
10位ブラジル184,000約2%

(※数値は主に2022年の統計に基づき、一部推定を含みます。輸出入による差分が大きい国では国内消費量は生産量と異なる場合があります。)

トップ5

トップは中国、年間約340万トンと桁違いの消費量です。中国一国で世界の4割ものいちごを消費しており、1994年以来ずっと世界最大のいちご消費国となっています。

第2位のアメリカは約130万トンで、中国の 1/3以下 の消費量ですが、それでも世界全体の1割強を占めます。アメリカは自国生産に加えてメキシコからの輸入も多く、世界最大のいちご輸入国でもあります。

続くトルコエジプトメキシコはいずれも年間50万~70万トン前後の消費量で拮抗しています。トルコとエジプトは自国生産したいちごのほとんどを国内で消費しており、エジプトでは冷凍いちごをヨーロッパへ輸出する動きもありますが国内需要も非常に旺盛です。メキシコは生産量では世界5位ですが、その約9割がアメリカ向けに輸出されており、国内消費量は生産量より少なめです。それでも人口増加とともに国内で食べられる量も増えてきています。

その他の国

6~10位にはスペイン、ロシア、ポーランド、韓国、ブラジルなどが入っています。

スペインは生産量では世界3~4位に入る年もあるほどですが、自国消費よりもドイツやイギリスなどへの輸出に力を入れているため、国内で消費される量は生産量の半分以下です。

その一方でドイツイギリスといった西欧諸国は、自国での生産量はさほど多くないもののスペインなどからの輸入で需要をまかなっており、輸入消費国として世界有数の存在です(例えばドイツはいちご生産量は世界20位圏ですが、消費量は推定20万~30万トンとトップ10級とみられます)。

このように生産国=消費国とは限らず、国際貿易によっていちごの流通は支えられています。

なお、世界全体で見るといちご消費は年々増加傾向にあります。健康志向の高まりで欧米などで果物人気が上昇していることや、新興国での所得向上によってアジア各国の需要が伸びていることが背景にあります。ただし気候変動による不作も時折報告されており、生産が需要に追いつかない地域もあるようです。

各国の年間いちご「一人あたり消費量」ランキング(kg)

次に、一人あたりの年間いちご消費量(kg/人/年)の多い国ランキングです。

総消費量では人口規模に影響されますが、一人あたり消費量を見れば「いちご好きの国民性」が見えてきます。FAOの食料バランス統計によれば、世界平均のいちご供給量は一人あたり約1.2kg/年(2016年時点)で、これが大まかな世界平均的ないちご摂取量と言えます。

しかしトップクラスの国では世界平均の4~5倍ものいちごを食べています。以下はデータのある2010年代後半時点の値ですが、上位国の顔ぶれは近年も大きく変わっていません。

順位国名一人あたり年間消費量(kg)
1位 🥇トルコ5.2 kg
2位 🥈エジプト4.9 kg
3位 🥉アメリカ3.4 kg
4位韓国(推定)4kg台(推定)
5位メキシコ(推定)3~4kg(推定)

(※トルコ・エジプト・米国は2016年時点。4位以下は資料や傾向に基づく推定値です。)

トップ3

トルコエジプトが一人あたり消費量でも群を抜いて多く、年間5kg前後と世界トップクラスです。これはいちごが身近で安価に手に入る環境や、伝統的に生のいちごを食べる習慣があることが要因です。

例えばトルコでは夏に新鮮ないちごを使ったデザートが人気で、エジプトでも季節になると市場に大量のいちごが並び手頃な価格で購入できます。

第3位のアメリカは一人あたり約3.4kgとされています。アメリカは人口規模が大きいにもかかわらず一人あたり消費量も高く、総消費量・一人あたり消費量の両方で世界上位に入る「真のいちご大国」です。

近年アメリカでは健康志向から生の果物摂取が推奨され、いちごの通年供給(カリフォルニアやフロリダでの長期生産とメキシコからの輸入)も整ったことで、過去数十年でいちごの年間消費量が大きく増加しました。実際、2006年には一人あたり2.8kg程度だった生鮮いちご消費が、2016年には3.6kg程度にまで増えています。

その他の国

上位3か国に続くのが韓国メキシコです。韓国は正確なデータこそ公表されていませんが、オランダの農業団体によれば「韓国の一人当たりいちご消費量は欧州(オランダ)の約4倍」とされています。オランダの水準によりますが、韓国も4kg台後半と推定され、いちご消費の非常に多い国です。

韓国では近年、いちご狩り観光農園や新品種開発などで国内のいちご人気が高く、若者を中心にいちごスイーツブームも起きています。メキシコも自国で豊富ないちごが採れる強みから国内消費が多く、推定で3~4kg/人と世界平均を大きく上回ります(輸出分を除いてもなお多い)。

その他、ドイツイギリス日本なども一人あたり消費量が多いいちご愛好国です。例えばドイツイギリスでは年間2~3kg程度とみられ、欧州平均を上回ります。日本はかつて「生食いちご消費量世界一」と言われたこともありましたが、実際の統計では一人あたり1~2kg台と推定され、上位国ほどの量ではありません。

それでも日本のいちごは品質が高く高級フルーツとして人気があるため、「いちごにかける情熱」は世界随一と言えるかもしれません。

おわりに

いちごの消費量ランキングを見てきましたが、いかがでしたか?

世界最大のいちご消費国は中国でしたが、一人あたりではトルコやエジプト、韓国など、意外な国が上位に並びました。総消費量では人口の多い国が強い一方、一人あたりではその国の食文化や生産体制が色濃く反映されます。

いちごは世界19番目に生産量の多い果物とも言われ、今後も需要の伸びが予測されています。各国それぞれのスタイルで楽しまれているいちご。日本でも旬の時期にはぜひ世界のいちご事情に思いを馳せつつ、美味しいいちごを味わってみてはいかがでしょうか。

参考資料: FAO(国連食糧農業機関)統計、各国農務省統計、OECDデータほか

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